上のメニューはPanasonic LUMIX G9 PRO のメニュー画像。
実装しているカメラとそうでないカメラがあって、すべてのカメラで使える機能ではないというのは先にお伝えしておきます。
例えばα7IIは使うことはできませんが、α7R IIやα7 IIIは使用可能。
Nikonで言えばかなり古いD80ですら使用可能だったりします。
なお、実はメーカーによって呼び方が違います。
- Nikon…ISO感度設定(低速限界設定)
- CANON…ISOオート低速限界
- SONY…ISO AUTO低速限界
- PENTAX…感度AUTO設定(低速限界の指定方法・設定値)
- FUJIFILM…ISO感度AUTOでの低速シャッター限界
- Panasonic…下限シャッター速度
- OLYMPUS…ISOオート設定(低速限界設定)
みたいな感じ。
機能としては一緒です。オリンパスの低速限界設定がない機種(OM-D E-M5 MarkIIなど)は裏技的な使い方ですが、フラッシュの低速制限というところで擬似低速限界が可能です。お持ちの方は試してみてください。
ちなみに今の環境では僕はもう低速限界が無いカメラには戻れません。
個人的には子供撮影において必須。
無くても撮れるけど…失敗がかなり減るはず。それくらい重要な機能なんです。
ポイント
- 低速限界が使える条件
- どんな時に必要なのか
- どれだけ便利なのか
を説明していきたいと思います。
シャッタースピード低速限界の条件
上の各メーカーの呼び方を改めて見てみましょう。
シャッターやらISOやらオートやら書いてあるので、シャッタースピードとISO感度が関係している設定だということはわかりますよね。
実はこの機能
注意ポイント
- シャッタースピード優先のSモード・Tvモードで使用することはできません
- F値もシャッタースピードも固定するMモードでは使用することはできません
- ISO感度を固定しても使うことはできません
基本的にはF値を固定するAモード・Avモードで使う機能だと思っておけばOKです。
どんな時に必要なのか
低速限界がいらない状況
ある日のこと。
休日の昼過ぎ、娘と一緒に外に出まして写真を撮ることにしました。
状況は上の写真のような感じ。文字にすると
- F値固定のAモードにしてISO感度はAUTO
- 背景をボカしたかったので開放F1.8で娘を撮影
- 天気も良く、明るい状況でしたのでSS1/8000の高速シャッター
- ISO感度は最低の100
で適正露出。
カメラ日和と言っていい日ですね。
多少影に入ったりするとSSが1/2000に自動でなり、ISOは100のまま。Aモード+ISOオートは絞り値だけ決めてあとは全部カメラに任すことができるわけで、いちいち露出を確認せずとも勝手に適正露出にしてくれます。
これがフィルムならこうはいきません。
影に入るたびに手動で設定を変えなければいけませんから…いい時代ですね。
今の所、低速限界は必要ありません。
いつ必要になるんでしょうか?
低速限界が必要な状況
問題はここからです。
設定はそのままで上のような暗い建物に入ってきました。
娘は楽しそうにパタパタと駆けていきました。もちろん僕も娘を追っかけカメラを構えシャッターを切りました。
さて問題です。
一体どんな写真が撮れるでしょうか?
・
・
・
正解は
娘がブレブレの写真ができあがる
です。
ショックですね…せっかくいい笑顔してたのに。記念すべき瞬間を撮れなかった…なんて悔しい思いをしました。
なぜこんなことになったのか、理由を探さなければまた失敗します。
カメラの挙動を考える
ひとつずつ設定がどのように変化していくか考えてみましょう。
明るい場所で適正露出で撮影。
↓
明るい場所から暗い建物の中へ入ることで周囲の明るさが変わる。
↓
露出のバランスが崩れる。
↓
AモードなのでF1.8で固定のままでシャッタースピードを遅くして露出を稼ごうとする。
↓
SS1/8000から適正露出まで遅くしていく。
↓
SS1/50で適正露出になったため、F1.8、SS1/50、ISO100で撮影。
↓
1/50では子供はぶれる。
↓
失敗写真のできあがり。
何がいけないのかというと
SS1/50で動き回る子供が撮れるわけがない
んですよ。カメラは
ポイント
周りが明るければ問題ないが、周りが暗くなったりF値を絞ったりして露出が稼げなくなると、シャッタースピードを低速に(シャッターが開いている時間を長く)して露出を稼ごうとする
んです。これはAUTOの状態のカメラなら必ずこうなります。
というかAモードってこういうことを自動でするモードです。でも、子供の動きをぶれずに撮るには最低でも経験上1/250くらいは必要。
どうしましょう?
低速限界の機能の本質
さっきのを考えると、こう思いませんか?
周りが暗くても被写体ブレ対策でSS1/250くらいにシャッタースピードは抑えて、残りはISO感度で調整できればいいのに。
…そう、まさにこれを叶えるのが今回のシャッタースピード低速限界です。
この機能の便利さがわかりますでしょうか?
シャッタースピードの下限限界を決めることで被写体ブレを無くし、稼げなかった露出はISO感度で補うことができるようになります。
先ほどの状況で低速限界SS1/250に設定したとしましょう。
明るい場所から暗い建物の中へ入ることで明るさが変わる。
↓
露出のバランスが崩れる。
↓
AモードなのでF1.8で固定のままなのでシャッタースピードで露出を稼ごうとする。
↓
SS1/250に低速限界が設定されていたのでSSは1/250になる。
↓
残りの露出はISO800にして補う。
↓
F1.8、SS1/250、ISO800で撮影。
↓
1/250では子供はぶれない。
↓
成功写真のできあがり!
ISO100からISO800まで上がりましたので画質は少し落ちる方向ですが、
見事子供がぶれない写真を撮ることができました!
ちなみにISOオートで上限を設定している場合、
低速限界よりもISOオート上限が優先になるようで、あまりに暗い状況だと低速限界を割り込んでシャッタースピードが低速になります。
どういうことかというと、例えばISO上限を1600に設定していてかなり暗い場所に移動すると…
明るい場所から暗い建物の中へ入ることでかなり明るさが変わる。
↓
露出のバランスがかなり崩れる。
↓
AモードなのでF1.8で固定のままなのでシャッタースピードで露出を稼ごうとする。
↓
SS1/250に低速限界が設定されていたのでSSは1/250になる。
↓
残りの露出はISO3200にして補おうとするが、ISO上限1600設定のためISO1600になる。
↓
さらに残りの露出をシャッタースピードで確保するために低速限界を超えてSS1/125になる
↓
F1.8、SS1/125、ISO1600で撮影。
↓
SS1/125では子供はちょっとぶれる(かも)。
↓
(たぶん)失敗写真のできあがり。
ポーズが撮れる4~5歳の子供ならSS1/125でもぶれないかもしれませんね。
まぁ、うちではたぶん無理でしょう。
こういう時はISO上限を無くすか、結構高めに設定しておけば低速限界を超えることはないはずです。
僕はISO3200かISO6400あたりに設定することが多いです。
低速限界設定しているのにやたら被写体がぶれるなぁ
なんて時はISOオートの上限を確認してみてくださいね。
低速限界を上手く使えない時は?
例えば、APS-Cのボディで300mmの望遠レンズを使っているとします。
F5.6、SS1/500、ISO6400
で撮れた写真があった場合、多くの場合ノイズが多めの画質の悪い写真になります。ノイズが許容できるのを例えばISO1600だとして、ISO上限を1600に設定したとすると
F5.6、SS1/125、ISO1600
となり、先ほどのように低速限界をわってしまいます。SS1/125はおそらく被写体ブレしてしまうシャッタースピード。こういう時はカメラボディ、レンズのどちらかの選択が間違っています。F5.6のレンズをF2.8に代えると
F2.8、SS1/500、ISO1600
で撮れるようになります。これなら画質も悪くないでしょう。300mm F2.8なんてレンズは超高級品ですがこういった価値があるわけです。もしくはボディを高感度に強いフルサイズに移行すると
F5.6、SS1/500、ISO6400
と、同じ条件でもAPS-Cに比べるとノイズレスに感じるはずです。(画角が変わったりするので同条件とは言いませんが)
低速限界の壁を越えてしまう撮影が多くなってしまっているときには、お使いの機材をもう一度考え直してもいいかもしれません。もしフルサイズに…と考えた時は下記記事を読んでみてください。
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フルサイズにマウント移行したら後悔する?APS-C・マイクロフォーサーズがフルサイズを超えるポイントや利点・欠点を紹介!
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まとめ 僕には必須の機能
シャッター速度低速限界とは、
ポイント
AUTOでSSの低速側の限界を決めることで、被写体ブレを防ぎながらなるべく低感度(高画質)で撮ることができるようになる機能
です。個人的にはPanasonicの下限シャッター速度が一番わかりやすい表現だな、と思います。
これを使いこなせれば明るい場所から暗い場所に、暗い場所から明るい場所に移動してもなるべく高画質で、かつ被写体ブレをなるべく少なく自動でカメラが設定してくれます。もちろん被写体ブレだけでなく、手ブレも抑える使い方ができますのでどんな人にも便利に使えるはず。
この機能を使うようになってから、
状況がガラッと変わってすぐにシャッターをきっても失敗写真が少なくなりました。
本当に便利な機能。
子供の撮影は一瞬一秒が勝負。なるべく設定はカメラに任すことで大切な一瞬を見事に撮れるといいですね!
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