フルサイズ…それはカメラを手にして知識をつけてくると必ず聞く言葉。
マイクロフォーサーズのカメラOLYMPUS OM-D E-M10(初代)からカメラにはまった僕も、使い出して数週間でデジタルカメラの最高峰はフルサイズであるというイメージは固定されたように思います。
ネット上でいろいろ見ても、実世界で写真を撮ってても
偏見ポイント
- 本気でカメラをするならフルサイズを買わなきゃ!
- フルサイズじゃないとこの写真は撮れないよ?
なーんて。そこそこ詳しい方に言われたりすることがあります。(実際あったんですよ、これが)
初心者だった僕は「やっぱりフルサイズ買わないとダメなんだな」なんて思ったもんですが…さて、そこで問いたい。
はてな
本当にフルサイズのこと、APS-Cのこと、マイクロフォーサーズのことわかってますか?
こんな記事を書くくらいなので僕はフルサイズもマイクロフォーサーズもAPS-Cも所有していますが、
フルサイズにはフルサイズの、APS-CにはAPS-Cの、マイクロフォーサーズにはマイクロフォーサーズの良いところがある!
たったこれだけのことに気づくのに随分時間がかかってしまいました…。そんな僕が
ポイント
あなたは本当にフルサイズは必要??買うと後悔するかもしれない理由
を今回はご紹介します。
2019.6.27追記
もし子供・赤ちゃんなど人物を撮る機会が多いのであればぜひ読んでみてください。僕が3年間、毎日のように子供たちを撮り続けてきてたどり着いたカメラです。最近フルサイズのα7 IIIを使ってないくらいには愛用してます。
続きを見る
【SONY α6400 レビュー】3年でカメラを5台買い換えた僕がたどりついた、初めての方にもオススメのミラーレス一眼!いろいろ比較したけどα6400が最高のコスパです。
みんなの憧れ、フルサイズ
突然ですがクイズです。同じ日に撮った下の4枚の画像のセンサーサイズはなんでしょう?
…いじわるですね、ごめんなさい。正解は
- フルサイズ
- マイクロフォーサーズ
- マイクロフォーサーズ
- フルサイズ
です。まぁSONYとPanasonicで色味も全然違うのでそう思って見ればわかりますかね。
僕はどちらも所有していますから感じますが適材適所です。フルサイズがいい時もあるし、マイクロフォーサーズの方がいい時もある。
プロのカメラの選び方
それはプロの多くは撮る被写体が決まっていて、
- 鉄道写真家
- 料理写真家
- 動物写真家
- 昆虫写真家
- 風景写真家
- 戦闘機写真家
などなど…自分が撮るべきもの・環境を考えたときにフルサイズがその要望に合致していたから。センサーサイズが大きければいいってわけじゃありません。フルサイズよりも大きな中判・大判のカメラというのも存在しますから。
彼らは確固たる理由があってフルサイズを選択しています。被写界深度、高感度耐性、レンズのラインナップ、取り回し、耐候性…自分が表現したいことができるカメラを選んでいるだけ。
当然、マイクロフォーサーズを使うプロにもその方の理由があります。総重量などの携帯性や耐久性に重きを置いてる方が多いかなぁ。そして中判デジタルを常用しているプロももちろんいます。みんながみんなフルサイズを使っているわけではありません。
フルサイズの利点は紹介していきますが、環境的にセンサーサイズが小さいものでも十分であったり、もしくはその時の状況に合っていることもあります。高い機材を買っても違いがわからないケースもあります。
少なくとも鉄道写真家の機材と子供写真家の機材のベストは違うはずです。
また、ある機材をいくらプロが絶賛していても使い方・環境が違うと同じ評価にはなりえません。あなたが参考にしている写真家は自分と同じ使い方・同じ環境で使用したことありますかね?
結局のところ、カメラの使い方は人それぞれなので自分にあった機材は自分にしかわかりません。自分の好きな趣味くらい世間の意見に惑わされずに、自分で自分の環境に合ったカメラを選べるようになりたいもんです。
もし悩んでいたら、ぜひコメント欄やラインで僕に相談してみてください。おかげさまで結構な数のご相談をいただけてますが、「あなたに必要なカメラ」を一緒に考えましょう。ぜひご活用ください。
この記事がみなさんの機材選びの助けになれば幸いです。
フルサイズに移行するメリット
初っ端っからグダグダと言いましたが、ぶっちゃけ現在
- 1型以下のコンデジ
- APS-C
- マイクロフォーサーズ
のカメラ・ボディ(つまりフルサイズよりセンサーサイズが小さいカメラ)を使っていて、以下の不満がある人はフルサイズに乗り換えるメリットは大いにあると思います。後半のデメリットも気にしながらフルサイズへの移行を考えてみてください。
本来の画角でレンズを使いたい
こいつらに…惚れちまったんだぁぁあ!!
…と、いうわけで僕がフルサイズに移行した理由はこれです。そしてこのレンズ達が僕のレンズ評価の基準になっていたりもします。
基本的には同じマウントでAPS-CとフルサイズのラインナップがあるNikon、CANON、PENTAX向きの内容ですが、アダプターを介してオールドレンズをFUJIFILMやマイクロフォーサーズで使ったことがあると、同じ気持ちになるかもしれません。
数年前になりますが、PENTAX K-3IIを使用していました。コスパに優れ、APS-C2400万画素の素晴らしい画質に不満もないまま使っていましたが、ある2本のレンズに出会ってしまいました。
そうFA Limited。
知らない人はさっぱり知りませんが、ペンタックス使いが単焦点を調べたら必ずヒットするPENTAXの宝のようなレンズ。FA31・FA77というくらいですから珍しい焦点距離31mm・77mmのレンズです。
広角の画角にこだわった35mmと28mmの間の31mm、室内でもちょうどいいポートレートな画角に落ち着く77mmというという僕のわがままを叶えてくれる最高のレンズに出会ったわけです。ちなみにマウントはPENTAX Kマウント。
しかし、例えばこのFA31をAPS-CのK-3IIに装着すると31 ×1.5で46.5mmの画角になり、本来の31mmの画角で使用することができません。46.5mmなんてほとんど50mmです。広角レンズではなく標準単焦点の仲間になります。
画角をがどれだけちがうか比べてみましょう。
APS-Cに31mmのレンズ
35mm判46.5mm相当の画角。標準レンズよりちょっと広いくらい。
フルサイズに31mmのレンズ
これがこのレンズの本当の画角。これだけ違うともはや別のレンズ。
どうしてもレンズの性能をフルに使いたい…。
そこで悩んだ僕はフィルムカメラ(!)のPENTAX K2を使いました。
フルサイズはちょっとなーと日和ってフィルムに移行しましたが、さすがにフィルムカメラで子供を撮るのはなかなか苦行だったのは言うまでもありません…フィルムの現像代がいくらかかったかって?考えたくもないです、正直。
その後フルサイズミラーレスのSONY α7 IIを買うことになります。なぜ満を持して登場したPENTAXのフルサイズK-1を選ばなかったか…それはまた別のお話…。
ということで、レンズのためにボディを変える。レンズ好きの人にしてみれば意外と普通のことだったりします。
フルサイズに移行するには十分な理由と言えるでしょう。
2020.1.11追記
僕自身はフルサイズではソニーを使用中。レンズラインナップや性能を考えるとSONY以外をメインにするつもりはないかなぁ。選べるボディの機種がやたらと多いのでこんな記事を書いてます。
-
【2023年4月】SONYフルサイズミラーレス一眼のカメラでもう迷わない!旧製品と新製品の違いを比較!おすすめボディまとめ!
続きを見る
画素数第一主義
これはラインナップ、というかセンサーの物理的・技術的な大きさの問題ですね。
APS-Cのセンサーを積んだカメラの最高画素数は2500万画素がいいとこ。(2018.8.14現在)
2019.10.16追記
CANONから3000万画素を超えるAPS-C機がでてきましたね。驚きです。
ちょっと画素数で分けてみましょう。
4000万画素〜
3000万〜4000万画素
- SONY α7R(3640万画素)
- PENTAX K-1 MarkII(3640万画素)
- Nikon D810(3635万画素)
- CANON 5D Mark Ⅳ(3040万画素)
〜超えられない壁〜(←破壊寸前!?)
〜3000万画素
- スタンダードのフルサイズ機
- フラッグシップAPS-C
- マイクロフォーサーズ
- 1型コンパクトデジカメ
という風にAPS-Cやマイクロフォーサーズでは到達できない画素数のラインナップが豊富です。
フルサイズはセンサーサイズが大きいので画素数も多くしやすい傾向にあります。普段鑑賞するパソコンのモニターのスペックが高かったり、トリミングを多用するなら画素数が多いと有利ですね。
過酷な環境下での撮影が多い(夜・屋内など)
マイクロフォーサーズを使っていると、撮れない・苦手なシチュエーションというのも存在します。
そしてフルサイズなら撮れる。それは光が少ない場面です。
夕暮れ時・夜といった暗い中だけでなく、屋内で望遠レンズを使ったり、動きの激しいものを撮影するときはカメラが取り込める光の量が少なくなり、状況的には暗がりの中で撮影しているのと同じような厳しい状況になります。
フルサイズは高感度に強い。ISO10000越えでしっかり写るなんてマイクロフォーサーズではそうそう無理(Panasonic GH5Sとかいう動画特化の高感度お化けもいますけど)。個人的なイメージですが
- 最新フルサイズ…ISO3200
- 一昔前のフルサイズ…ISO2000
- 最新APS-C…ISO1500
- 中古APS-C…ISO1000
- 高級マイクロフォーサーズ…ISO1400
- 型落ちマイクロフォーサーズ…ISO800
くらいまでがノイズや解像感の劣化がきにならない、常用可能なISO感度。ISO感度が常用できる値が大きければ大きいほど暗い中での撮影に強いんですね。センサーサイズが大きければ大きいほどノイズにも強いんです。
現在使用中のカメラで撮った写真にISO感度高くなっちゃってザラザラしてる・どうやってもISO1500を超える写真ばかり…とか感じているならフルサイズに変えることで一気に解決できるはずです。
水族館・夜桜、屋内スポーツなどの撮影をストロボ無しでするのは小型センサーの苦手分野と言えます。
もっとボケを!ボケをぉぉーー!
個人的にはこれ目的でフルサイズ移行する人が一番多いと思ってます。
ちなみに、妻がCANON EOS RPを多用しているのはこれが理由です。ボケ中毒者なので(笑
フルサイズはピントの合う範囲が狭く(被写界深度が浅く)、ボケを活かした写真が撮れると言われますが、
同画角・同絞り・同距離で同じ被写体を撮るとセンサーサイズが大きいほどボケが大きくなる
ということを理解しておきましょう。
マイクロフォーサーズのレンズとか見てると25mm(35mm版換算50mm)といった記述を見かけます。これはこのレンズは焦点距離は25mmなんだけど、フルサイズの焦点距離50mmと同じ画角ですよということ。
フルサイズの25mmのレンズの中心部分を50mm相当の画角にマイクロフォーサーズはトリミングしている…なんて言い方もできます。
ボケというのは焦点距離が長ければ長いほど大きく(被写界深度が浅く)なりますので、25mmと50mmのレンズでは50mmの方がボケが大きくなるんですね。
つまり25mmマイクロフォーサーズよりも50mmフルサイズの方が同じ画角でもボケが大きいと。見方をかえるとマイクロフォーサーズの25mmのレンズとフルサイズの25mmのレンズはボケの量は一緒で、見える範囲がフルサイズのほうがずっと広い。
どうでしょうか?なんども読み返してみてくださいね。とっても大事ですよ。
ちょっと話がそれました。大きなボケが欲しいという話でしたね。
フルサイズでF1.2やF1.4のレンズというのは、マイクロフォーサーズだとF0.6やF0.7のレンズを使わないと同じ被写界深度になりません。当然そんなレンズはマイクロフォーサーズにありませんので、同じ条件下でボケを増やしたいならフルサイズのカメラを使うしかないわけです。
フルサイズ移行のデメリット
さて本題。当てはまる方はフルサイズへの憧れをもう一度考え直した方がいいかもしれません。
予算・スペースが限られている
カメラは金がかかります。
フルサイズは特に金がかかります。
ボディがいくら小型になってもセンサーは大きい、つまりレンズの巨大化・高価格は免れません。どのくらい違うかというと…標準画角の単焦点F1.4のレンズの値段並べてみますよ。
マイクロフォーサーズ
フルサイズ
ね?
もちろん大きさ・重さも段違い。なるべく軽い装備でカメラを持っていきたいという人にも当然向きません。どちらも所有していますので並べてみました。実際に比べたら目を疑ったぜ。
ボディサイズは同じくらいでも同じ画角・同じ明るさのレンズがここまで大きさが違います。
2020.11.4追記
比較がフェアでは無い、というコメントをいただきました。確かにフルサイズ50mm F1.4のボケがマイクロフォーサーズ25mm F1.4のボケよりも2段分大きいことを考えるとフェアでは無いかもしれません。この条件ならフルサイズは50mm F2.8と比較すべきということですが、同じ画角・同F値のレンズを比較の大前提としていますのでご納得いただけると幸いです。コメントに僕の考え方を詳しく書いておりますのでよかったら。
そして、機材もなにかと高くつくことが考えられます…ってか高くついた。
使うレンズによっては三脚なんかも耐荷重が大きな高額なものを選ばないと使い物にならないかもしれません。安物では重さに耐えられないことが多々ありますよ。少なくとも10万越えの機材を二千円の三脚に乗せないでくださいね…。
SDカードなどもより高性能・大容量のカードが必要だったり、画素数が多いとデータ量も大きくなり外付けHDDも大容量、パソコンもより良いスペックが求められるはず。本当に桁違いの金のかかり方。
なんとかフルサイズのボディが買えるかなーと思ってたりしませんか?
安くボディを買えたとしても優れたレンズが買えない
なーんてことがあるかも。
なお、写真の保存はこちらのバッファロー1TBのSSDを使っています。
スマホほどの大きさですが容量・読み込み速度文句なし。場所も取らないし持ち運びも楽々です。初めて買った1GBの外付HDDは大きかったなぁ。
ただ連写やら高画質やらバックアップやら考えた結果、使用容量がかなり多いのでクラウドサービスのAmazon Photosを併用しています。
ポイント
- RAWもJPEGも無劣化・容量無制限
- 自動で日付管理される
- いつでもスマホで確認できる
のでバックアップとしても優秀。特にスマホで見れるのが超便利。見たい・見せたい写真がクラウドでいつでも・どこでも見れるのは本当すごい。すでにプライム会員なら追加費用無料。使ったことがないなら、ぜひ使ってみてください。おすすめですよ。
接写する機会が多い
上のような写真がフルサイズは撮りづらい、そんな話。
マイクロフォーサーズからフルサイズに移行して、ある不満がありました。それは意外と寄れないということです。
50mm単焦点を装着しで娘と手を繋いで娘に写真を向けると、ピントが合わないことがあったんです。フルサイズの50mmのレンズはだいたい最短撮影距離は50cmくらい。(焦点距離と最短撮影距離ってほぼ一緒くらいなことが多いです)
対してマイクロフォーサーズなら25mmのレンズがフルサイズ50mm相当の画角のレンズになるのは前述したとおりですが、最短撮影距離は25mmのレンズなんですね。
だから25cmくらいまで寄れるんです。
しかも寄れば寄るほどボケの量は増えますから、ボケの量も申し分ありません。最短撮影付近の撮影・最大撮影倍率は実はフルサイズは不利になるケースが多かったりします。つまり、
フルサイズでは50mm相当の画角で25cmまで寄った写真はなかなか撮れない
んですよ。実際僕も最近気づきました。ボケの量ばっかり考えていたので完全に盲点でした。
マイクロフォーサーズは接写に強い。
もちろんフルサイズでも撮れます。が、撮れるとすればそれはマクロレンズしかないわけで。マクロレンズではF値が2.8ほどまでレンズが暗くなることが多い上、接写能力を高めているので意外とAFが遅かったりと弊害もあります。フルサイズセンサーに対応できる大きく重いレンズをたくさん動かすのは大変なんです。悩ましいですね。
その点、マイクロフォーサーズは全体としてとても軽量なうえ、被写体に寄れるレンズが多いです。
結果として、最大撮影倍率もとても高い。小型のセンサーに最適化されたレンズなので、特に切替スイッチを操作せずにマクロ領域から無限遠まで広範囲で高速なピント合わせができますから最短撮影距離を割ってピントがあわない!という機会はかなり少ないはずです。
2020.1.11追記
妻のフルサイズCANON EOS RPにはRF 35mm F1.8 MACROがつけっぱなし。
MACROとつくだけあって最短撮影距離は驚異の17cm。マイクロフォーサーズとほぼ同様の使用感で使用できます。ここまで接写にも強く、フルサイズ対応でF1.8の明るいレンズはこのレンズだけ。
このレンズを使うためだけにRPを使っているといっても言い過ぎではないくらいお気に入りとなってます。
-
【CANON EOS RP レビュー】SONY使いの僕がCANONの軽量フルサイズミラーレス一眼を買ったわけ!
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室内で複数人撮る機会が多い
今回一番伝えたいのはこれ。
フルサイズだと失敗することが多くなるかもしれません。フルサイズは被写界深度が浅い、つまりピントの合う範囲が狭く、ボケは大きくなるということがフルサイズのメリットでしたが、メリットだけじゃないんだよという話。
だってピントの合う範囲を広くしたいときだってあるはずですから。
例えば旅行の写真。背景がボケボケではどこに行ったかわかりません。記念写真ではどこで撮った写真か、というのはとても大事です。
例えば結婚式の集合写真。集まってくれたみんなを撮りたいですから、手前の人から奥の人までピントがあっている必要があります。後ろの人はボケてる、とか悲しいじゃないですか。
例えば家族の写真。子供は前に大人は後ろに。みんなの顔にピント合ってて欲しいですよね。仲のいい友達に赤ちゃんが産まれたなんて聞いたら写真撮りたいでしょ?
例えばコスプレの写真。ある場面を表現するために背景が大事だったり、多人数の写真になることも多いはず。当然、メインは一人とは限りません。複数で同じアニメのコスプレをしたりすることもあるはず。そりゃみんなが主役ですからみんなにピントは合わせたいってもんです。
意外とピントの合う範囲を広げたいケースは多かったりすると思いませんか?
そして、ちゃんと分かっている人はストロボが必要だということを知っているはず。というか、
ポイント
フルサイズを使っているわりには薄暗い室内・複数人の撮影するときフラッシュを焚くという選択肢がない人、いつも絞り開放でしか撮らない人はあんまりカメラに詳しくない、そこそこの確率で素人
だと思ってほぼ間違いないです。
めちゃくちゃ距離を離していったり、広角レンズに交換しているのは苦肉の策を実行している有段者。ささっとレフ板出したり、ストロボのセッティングに入っていくのが知識のある本物のカメラマン。
なんの知識もない超ど素人でもフルサイズを買える時代ですから…人に撮影を頼む時は気をつけましょう。
そう、フラッシュ使いたいなとすら思えないってことは被写界深度とか被写体ブレとかライティングとか大事な知識が欠けている可能性があります。後述しますが、僕のように大事な瞬間を収められない可能性が高いです。
もちろんストロボが使えない状況もありますけど、
ストロボを使わないのか、使えないのか
大きな差であることは間違いないです。下の写真はかなり暗かったのでストロボ使っています。ライティングは奥がとても深いので僕も勉強中。フルサイズを使うならストロボの知識を身に着けるのは必須だと思いますよ。(さらに金がかかりますが仕方ない)
ちょっと話が逸れました。
フルサイズだと失敗しやすいとはどういうことでしょう?実は、
- F値は結構絞る(被写界深度を広げて前後の人にピントが合うようにする)
- 人を撮るのでシャッタースピードを遅くはできない(被写体ブレ防止)
- ストロボ禁止
という条件の時、フルサイズの優位性はかなり低くなります。
2018.7.8追記
被写界深度とかF値とか言われてもわからない、という方はこちらをどうぞ。
-
【レンズの選び方 完全版】いい写真を撮る方法!焦点距離…否、撮影距離やF値で変わる被写界深度や写り方を実感してみよう。
続きを見る
ここからちょっと難しいですよ。
例えば、マイクロフォーサーズで「SS250、F4、ISO1000」で撮れた写真はフルサイズだと被写界深度が2段浅いので、シャッタースピード固定で、絞り値、感度を揃えると「SS250、F8、ISO4000」になるはずです。
実はDxoMark(英語サイト)さんのテスト結果(2018.7月現在)では、許容ISO感度が
- マイクロフォーサーズOM-D E-M1 IIがISO1400
- フルサイズα7 IIIがISO3730
になっています。つまり、マイクロフォーサーズとフルサイズは被写界深度は2段分(ISO感度だと4倍)の差ですが、許容ISO感度は2段分以上差があり、同じ被写界深度の時にマイクロフォーサーズがlog2(1400/(3730÷4))つまり約3/5段分ほど優位になるんです。
なんと
シャッタースピードを落とさず、ピント面を広げてストロボ無で撮影する時限定ですが、余裕を持って撮影できるのはマイクロフォーサーズ
なんです。意外でしょ?
これがマイクロフォーサーズがフルサイズを超える状況です。かなり限定的な条件ですけどね。
まぁダイナミックレンジがなんたらーとか、DxoMarkさんの結果はあてにならない〜とか、まぁ気持ちはわかります。
わかるので参考程度にするとしても、フルサイズだから綺麗にとれるってわけじゃないってことを知ってもらいたいんです。実際はフラッシュを焚いた方が確実でしょう。まぁ周りの迷惑になったり、フラッシュ不可のケースもありますから、そこはケースバイケースで。
ただ、暗くなりすぎると今度はマイクロフォーサーズは高感度が弱いのでまたフルサイズがまた優位になるんですけどね。
実はこのへんの知識は失敗から学んだことです。
当時、APS-CのPENTAX K-3 IIにSIGMAの怪物ズーム18-35 F1.8 Artを使っていい気になっていました。APS-CでF1.8通しのズームの被写界深度は非常に浅く、撮るもの全てがいい感じに撮れて写真がうまくなった気でいました(ちなみにフルサイズF2.8通しのズームとほぼ同じ被写界深度)。
でかいカメラにでかいレンズで調子に乗っていたわけです。
そんなカメラをぶら下げていたある日、知り合いの夫婦に子供が生まれました。
自称カメラマンの僕は意気揚々と新生児を撮りに行きます。もちろんいい感じに撮れました。僕の心を折ったのは次です。
「よかったら家族全員写ってる写真撮ってもらってもいい?」
お母さんが我が子を抱き、お父さんが二人を支える。赤ちゃんがびっくりするといけないのでストロボは禁止。
この写真が撮れなかった。
病院の部屋が少々暗かったのでシャッタースピードをかせぐために何も考えずF1.8開放で撮ってたんですね。何枚も撮りましたが、誰かの目にピントが合っていると他の人の顔がボケています。スマホ程度ではわかりませんが、大きめのモニターで見ると明らかにすべて失敗写真でした。
そして妻がマイクロフォーサーズのOLMPUS OM-D E-M5 II +M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PROで撮ってた写真はバッチリでした。
悔しかったな…。
このシチュエーションでしなければならないのは、被写界深度をなるべく深くして家族全員の顔が被写界深度内に入るようにすること。画素数や感度、つまり画質は多少犠牲にしてもいいから全員の顔にピントが合っていることを優先すべきです。
つまり、
- 焦点距離を小さく(広角側に)する
- なるべく被写体から離れる
- 絞り量を適切に設定する
という3つを、撮れる写真のレイアウトを考えながらのバランスを取っていく必要があります。
極端に絞るとシャッタースピード・露出が確保できないですし、広角側にしすぎたり離れすぎると被写体が小さくなりすぎてしまいますから、トリミングを視野に入れなければならないケースもあるはず。
それと同時に
- フラッシュの有無(このケースの場合赤ちゃんがいるのでフラッシュは焚かない)焚く場合は露出との兼ね合いも考慮。
- 光の向き・影の向きは適切か
- シャッタースピード(ストロボ無しなら被写体ブレ防止のため1/250くらいを中心になるべく早く)、ISO感度を決定し露出を適正にする
という一連の思考ができるかどうか。写真のうまい人は理論的にしろ感覚的にしろ、こういうことが毎回きちんとできています。
マイクロフォーサーズは
すでにトリミングした画角なので最初の被写界深度と感度のバランス取りがほぼ省略できる
ってところが今回うまく撮れた要因です。さらに言うと、スマホで撮った方がいい写真になるのはこういうケース。スマホのカメラは最初から全面ピントがあいますから特に考えることはないわけで。
センサーサイズが大きくなると表現の幅は広がりますが、やる事増えて難しいんですよ。
薄暗い室内で複数人の写真を撮る。意外と機会があります。みなさんが意気揚々とでかいカメラを持った僕と同じ失敗をしないことを祈っております。
2018.7.21追記
被写界深度の調整に最適な有機ELディスプレイを備えたレンズを購入しました。このレンズで特訓していきたいと思います。
-
【ZEISS Batis 2/25 レビュー】子供撮影カメラとして最高にオススメ…SONY α7IIIと作例・使い方を紹介!!25mmの広角ポートレートは楽しいぞ!
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2018.10.24追記
Panasonic G9 PRO用にお手軽なストロボを購入しました。室内でも暗めのズームレンズで撮れる撮れる!!最初はこういう入門機材でストロボの必要性を肌で感じると高いストロボにも拒否感が湧かないはず(笑
-
【PAPAPAカメラ理論】LUMIX G9 PROにストロボを買いました!フラッシュライトDMW-FL200Lの使い方をレビュー!
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まとめ スゴイ写真の正体
マイクロフォーサーズやAPS-Cはフルサイズと比べるとスマホのカメラに近いです。
それはデメリットでもありますが、メリットも果て無く大きい。
注意ポイント
- ついでに撮ったスマホの方がよく撮れてる。
- あんまりお金はかけられない。
- ほぼSNSでアップするだけ。
- 集合写真や背景を大事にする写真が多い。
そんな方はフルサイズに移行するのはちょっと考えた方がいいかもしれません。
大金をかけて機材を揃えたのに、撮れる写真はピンボケの山とか、いまいち違いがわからないということがあるかもしれません…切なすぎる。同じお金をかけてストロボや三脚にお金かけるという方向もありますから、どんな機材が自分に必要かきちんと考えた方がいいでしょう。
実際、僕の知り合いのこん( larme_000 )さんはAPS-Cのカメラで活動されていますが、インスタのフォロワーは3万を超えています。自分の使い方にぴったりの機材を見つけた素晴らしいセンスの持ち主です。
ちなみに今回の内容を読むとわかる通り僕はあまりAPS-Cはおすすめしていません。
なぜ?そりゃフルサイズ用のレンズも使えるっていうのは、心に引っかかりを残します。やっぱりフルサイズの方が…なんて思いながらAPS-Cを使っている方が周りに多いんですよ。一度フルサイズを所有し、使いなれてくると「あ、APS-Cってよかったな」と思うことがたくさんあるんですけど。
無い物ねだりと言ってしまえばそれまでですが…なかなか人の心は難しいもんです。
いっそマイクロフォーサーズなら専用レンズしか使えませんから悩むこともないはず。そういう意味では富士フィルム(Xマウント)もフルサイズがない専用レンズなのでフルサイズに思いを馳せ続けることはないかもしれませんね。(まぁそんなことないか)
まぁそれにしたって僕が何より伝えたいのは、
フルサイズが凄いわけではないんです。
凄い人達がものすごい知識・経験・時間を注ぎ込んでフルサイズを使うから凄い写真になるわけで。
そういう人達は極論、コンデジを使っても凄い写真を撮ります。
もちろん、フルサイズの表現力は確かに他のカメラにない魅力ですから本気でカメラがうまくなりたい・使いこなしたいならフルサイズに移行してもいいと思います。
でも、金をこんなにつぎ込んだのになぜかうまく撮れない…適当に撮ったスマホの方が良く撮れている…。そんなことがたくさん起こると思います。もちろん、逆にフルサイズを使うことで小さいセンサーのカメラの良さもよくわかる、なんてこともまた人生。
覚悟しましょう。
大事な瞬間を撮れなかった悔しさに悶えながら…腕を上げるしかないんです。
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