2022年3月。
大好きなオリンパスの血を引くマイクロフォーサーズ最新フラッグシップマシンがOMデジタルソリューションズより発売されました。
その名はOM-1。
伝説のフィルムカメラ、OLYMPUS OM-1の名前を復活させたわけですね。
「OM-D E-M1 Mark IIIがかなり満足度の高いカメラでしたので最新機種のOM-1はさぞかし良いに違いない!」と思うこと半年。ようやく手にすることができました。嬉しくなって歴代OM-1を並べて一枚パシャリ。フィルムのOM-1は今はもうインテリアになってしまっていますが今でも撮影可能です。どちらもかっこいいカメラでしょ?
僕が初めてカメラがかっこいいと思ったカメラがOLYMPUSだったのですが、今も変わらずにッコよくいてくれて嬉しい限り。なお、レンズはマイクロフォーサーズの便利ズームの最高傑作OLYMPUS M.ZUIKO 12-100mm F4 IS PROを装着しています。
先日、子供たちと動物園に行ってきましたのでレビューしていきます。ゆっくり追記していきますのでどうぞお付き合いください。
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OM-1 & M.ZUIKO 12-100mm F4 IS PRO 作例
せっかくなのでほぼ撮って出しです。色味の変更など行わず、ちょちょっとトリミングとかで構図を整えてるくらいです。
ISO1000。十分じゃない??
こちらのペンギンはISO200のベース感度にて。F4の開放ですが水の質感、身体の隅々までキッチリ描写できていますね、素晴らしい。
OM-1の特徴・便利機能・メリット
基本的にはOM-D E-M1 Mark IIIの完全上位互換という感じですのでまずはこちらの記事をご確認ください。
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【OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III レビュー】E-M1 Mark IIと比較。違いも分かりづらく、どっちも使いやすそうに見えるけど…?
続きを見る
さらに良くなった耐高感度
初めてフクロウがこっち向いてくれたぁああああああああ!と、おおはしゃぎの娘。
何度も何度も動物園には行きましたが、いつも大好きなフクロウに会えなかったのです。僕も喜ぶ娘を撮ればいいのにフクロウを撮ってしまった。だって葉と枝に隠れていたことばかりで、こんなに身体全体見れたこと僕ですらなかったから…。そんなこの写真はISO2000。マイクロフォーサーズはISO1000以降は苦しい、と認識していたのですが十分使えます、というかISO1600以降の高感度域では新型とは言えない型のAPS-C、例えばα6400あたりより描写力はずっと上。さすがフラッグシップモデル!!
OM-D E-M1 Mark IIIがだいたい1500あたりで画質の劣化は感じますが、OM-1は2400あたりから気になる感じです。一段…とは言えませんが約一段、一段弱ほど高感度に強くなったかな、という感じ。
このちょっとした差が非常に重要で、特に僕のようにめちゃくちゃ明るいとは言えない高倍率ズームを多用するような人間にとっては満足できるか、出来ないかの瀬戸際だったりします。そして単焦点やF2.8クラスのズームレンズを多用する人にとってはほぼ常用使用で問題ないレベルまで耐高感度が改善したと思っていいと思います。
コスパの高いマイクロフォーサーズの単焦点・ズームレンズを遊び尽くせることでしょう!
とにかく発色がいい
撮って出しでこれですよ。
コントラストが高く、難しい場面ですが光と影の表現力が素晴らしい。光の当たる髪は艶やかに、影の中にも十分な色味を感じますよね。
この肌の質感、すごくないですか?
このカメラ、ほんっっっっっっとに色が良くて。RAWでゴリゴリに画像編集しなくたって撮るだけでいい感じになる。素晴らしい…。
手持ちハイレゾショットが使える
OM-1はハイレゾショットが撮影できます。
撮影方法は超簡単でハイレゾショットをONにするだけ。撮影後に待機時間が十秒ほどかかるとはいえ普通の2.5倍の画素数で保存可能です。
三脚不要!手持ちで!!
被写体があまり動かないのであればかなり高画質で撮れますよ。
上の写真はハイレゾショット(8160 x 6120 =5000万画素)とノーマル(5184 x 3888 = 2000万画素)で同じような感じに撮影しました。このブログでは画像圧縮かけていて違いがわかりにくいので拡大した比較画像がこちら。
明らかに違いますなぁ。もちろん左がハイレゾショット。
ここまで描写できるのであれば広めに撮って後でトリミングで調整したりしても一切困りません…。これが単焦点ではなく24-200mmの便利ズームで撮れるんだから…ほんと素晴らしすぎるよマイクロフォーサーズ。
小型・軽量ボディの最高峰システム
CANON EOS RP + RF24-240mm F4-6.3 IS USMを使ってたときは「結構重いな…」って感じることが多かったんです。その重さは485g + 750g = 1235g。そして、今回のOM-1 + 12-100mm F4 PROの場合、599g + 561g =1160g。
総重量では差が70g程度しかありませんが、フルサイズの場合ボディよりレンズが重いため、特にズームして繰り出すと重心位置が体から離れる方向にずれるので結構重く感じます。
が、今回OM-1を子供達二人と一日中動物園を散策しましたが全然疲れることはありませんでした。システム全体でバランスが取れていて素晴らしい。
それから、OM-1は大型ボディグリップも良好で小指が余ったりすることもなく快適に撮影できます。
センサー読み出し速度が高速化
センサーの読み出し速度、というのはセンサーを上から下まで読み切るまでの速度になります。電子シャッターにおけるシャッター幕のスピードと言ってもいいですね。
物理的なフォーカルプレーンシャッターは1/250秒ほどの速度があるので十分なのですが、電子シャッター使用時にはゆっくりだと様々な弊害が生まれます。
カメラにはシャッターが3種類ありますが、どれもメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
メカシャッター | 安定している | 超高速では使用できない |
電子先幕シャッター | ラグが減る・ブレの低減 | 高速域以上でボケが欠ける |
電子シャッター | 超高速が使える・無音 | コンニャク現象・バルブ撮影、ストロボ同期制限有・フリッカー露出ムラ |
ざっくり書くとこんな感じ。コンニャク現象(ローリング歪み)とは電子シャッター使用時のセンサーの読み出し速度の差で画像が歪んでしまう現象。
ゴルフクラブがありえない曲がり方してます。
RX100IV(DSC-RX100M4)やSONY α9にはアンチディストーションシャッター、OM-D E-M1 Mark IIIなどはかなり影響が少なくなるようにセッティングしてありますね。
上記、電子シャッターのデメリットは全てセンサーの読み出し速度が遅いことが原因ですが、OM-1はOM-D E-M1 Mark IIIからさらに読み出し速度を上げてきました。このことにより、ストロボ同調速度が1/50 → 1/100になり、ローリング歪みの現象、さらには次に上げる動画性の向上4K60Pの撮影が可能になりました。
動画性能の向上(4K60P対応)
OM-D E-M1 Mark IIIは4K30Pまでの撮影でしたが、ついに4K60Pに対応しました。
10bitで!!
8bitも10bitもそんな変わんないでしょ…なーんて思ってましたが暗所のノイズ感とかぜんっぜん違います。一度10bitの良さを知ってしまえば正直8bitには戻りたくないくらいです。
マイクロフォーサーズではPanasonicやBlackmagicが早々に4K60Pに対応していたこともあって動画性能についてはOLYMPUSは誉められたものではありませんでしたのでやっと本格的に使える動画機が出た!という想いですね。
12-100mm F4 PROは動画界においても凄まじく良いレンズですのでOM-1で思いっきり撮っていきたいと思います。
OM-1のデメリット・不満点
AFシステムはあと一歩
AFターゲットがあっていてもピントが狙った位置にきていないことがあるようです。上のレッサーパンダ、悪コンディションでもないのにピンと外しが結構ありました。枝とか柵とかが多いとAFターゲットを枝の隙間に置いても何しても枝にピントが持っていかれることがすごく多かったです。結局MFで微調整してあげることもしばしば…おいおい。
特にAF-C + TRを使うと顕著。狙った位置にピントが合わないことが多々あります。E-M1 Mark IIIもそうだったのでそこまで…というかほとんどAF周りは進化していない印象。まぁ、そこら辺はAI被写体認識AFが追加されているので動物を撮るなら動物に、電車や鳥も認識できるのでそれに設定して撮影すると失敗確率が下がるでしょうけど…SONYのように楽々子供が撮れる機種か、と言われると素直に頷けません。顔認識してるのにピント合ってないってどゆこと?
あと、マスクつけると顔認識精度が結構下がるので要注意です。
動画撮影も改善の余地あり
動画撮影中に拡大してピント確認できなかったり、H.265での撮影ではピクチャーモードが編集前提のOM-Log400やHDR動画が撮れるHLGでしか撮影できません。iPhoneやAndroidでもHEVCの動画再生ができることを考えると編集前提でない普通のピクチャープロファイルが使えてもいいんじゃないかな、と感じました。あと4K60pの時ALL-Iが選べないとかH.265のスローモーション撮影で240fpsが選べないとかいろいろあります。
SDカードも連続撮影に対応しておらず「スロット1がフルになったらスロット2に自動で切り替え」は動画では出来ません(写真はできるのに)。
まぁ何がしたいか、とかにもよりますが、とりあえず超高画質で動画を撮りたい!みたいな用途でOM-1を使ってはいけないのかな?動画を本気でやる方にはまだ選ばれそうにないかなぁ…ってのが本音。マイクロフォーサーズで動画撮るならパナのGHとか選んじゃいそう。パナのAF嫌いだから選ばないけど。
あとmicro HDMIじゃなくてフルサイズのHDMI端子がいいです…サイズ的につらいだろうけど。
ライバル機との比較まとめ
SONY α系と比較
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価格帯で言うとα7Cが対抗機種になりますが、かたやフラッグシップ、かたやコンパクトな入門モデルなんですよね。SONYフルサイズのフラッグシップα1は70万ですから…マイクロフォーサーズのコスパの高さを実感しますね。
AF性能や耐高感度はSONY α、機動性や多機能性ではOMDSといった感じ。レンズラインナップは似たようなものでしょうか、最近の発表状況を考えると若干SONY優勢かも。何にしても、あまりに方向性が違いすぎるので比較検討するのもちょっとズレてるかな、という印象です。SONYとOM-1の2台持ちとかすごく便利だと思う。
子供を撮影するのがメインならSONY α6400 / 6600かα7Cの方ががオススメすると思います。
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Panasonic GH6と比較 (2022.12.21追記)
Panasonic G9 PROに絶望して早5年。
「ゆきおみさん、パナソニックのGH6はどうですか?OM-1と比較してもらえませんか?」
とご意見いただいたのでレンタルしてみましたよ。確かに気になっていたし。僕にとっての最強のマイクロフォーサーズ機はどっちかってね。
パナ機は元々動画に強いことで有名で、最近動画もかなり撮るようになってきたこともありダイナミックレンジブーストとかいう新機能なんかもすごく気になっていたけど…。
うん、AFはG9からほぼ変わってない。嫌いなとこが。
やっぱりピント位置がブルブル前後するし、なんか突然ピントが抜ける。もうちょっと使い込んでからまたコメントしますが、僕にはこのAFは無理。
…なんて不満タラタラですが、ちょっと触っただけでもG9と比べると雲泥の差なのは明らか。他メーカーのカメラ使ってなかったらGH6に満足してたかもしれない。それくらいGH6はこの数年でGH5やGH5S、G9 PROからキッチリ進化しています。
連写しない / 動画撮らなくてAF性能がさほど必要なかったり、動画はMFしか使わない、そんな方にとってはすっごくコスパ良いと思うけど僕にとって楽で信頼できるAFは必須。
もうなんかパナソニック恐怖症なのかもしれません。多分パナソニックがDFDメインのAFを捨てるまで二度とパナは触らないはず。
あとSDが一枚、CFexpress Type-Bが一枚のダブルスロット構成もあんまり好きじゃないかなぁ…。外部レコーダーが必要だったのが不要になったりとメリットはあるのだろうけど…頑張ってSDカードの挿入口がもう一枚欲しかった。とか思ったけどCANON R5も同じだしまぁ仕方ないか、みたいな感じ。タイプBデッカいもんね。この辺についてはTypeBの方が明らかに性能上だけど僕はSONYのタイプAの方が考え方の方が好き。SDカードと挿入口共用できて小型化できるから。
ProRes 422 HQ ビットレート1.9Gbpsで外部レコーダー無しで撮れないと困る!みたいな状況ならAFに難があっても使いますけど…僕には必要ないですね…。ビットレートがそのレベルだと128GBのメモリーカード用意しても10分くらいしか撮れませんし、コスパ悪すぎるので外部SSD / 外部レコーダーを使うんじゃないかな…。この辺はまだまだ勉強中なので分かり次第追記します。
Panasonic自体は嫌いではないので5年くらい経ったらその時の最新機をまたレビューする…かも。
要するに僕は現状、OM-1派って感じです。
まとめ コスパの高い傑作かと
正直OM-1よりもさらに上の性能を求めるとなると桁違いにコストがかかる世界に突入していきます。
それがフルサイズだとボディだけで50〜70万、レンズも含めると100万円あたりが予算となってくることでしょう。AF周りはもうちょっと進化の余地があるのでファームウェアアップデートに期待したいところ。
2022.11.26追記
11/24にファームウェアアップデートが発表されVer 1.2 →Ver 1.3へと更新しましたが、AF性能はまだまだ…といった感じです。
小型で、コスパが良くて、かっこいい。M.ZUIKO 12-100mm F4 IS PROとお好みの単焦点を用意しておけば室内でも屋外でもかなり楽しめると思いますよ。そんなOM-1はコンピュータに余裕も残しているようなのでファームアップで長く使えていけることでしょう。
え?そんなにAF性能こき下ろしておいて、なんで使っているかって?それは僕の現使用環境に合っているからです。
ポイント
- 高画質の4K動画をかなり撮る。
- 発表会ではピントは固定させてほとんど動かさない。
- 浅すぎる被写界深度は必要ない。
- 24mmのある高倍率ズームを使いたい。
- 画質にはこだわりたい。
- 重い機材は使いたくない。
OM-1と12-100mmの組み合わせは、手放しで誰にでもお薦めできる機種ではありませんが欲張りな人にとことんハマる、そんなカメラなんです。
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